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あなたの毎日にも関係する? 易経の『変化』の考え方入門

Tags: 易経, 初心者, 変化, 陰陽, 八卦

易経(えききょう)という言葉を聞いたことがありますか? もしかすると、「難しそう」「占いの本?」といったイメージをお持ちかもしれません。確かに、易経は何千年もの歴史を持つ古典であり、奥深い書物です。ですが、その一番の基礎にある考え方は、実は私たちの毎日の暮らしにも関係している、とてもシンプルなものなのです。

この記事では、易経の「超」基本中の基本として、「易経がなぜ『変化の書』と呼ばれるのか」に焦点を当て、その考え方を一緒に見ていきましょう。難しい専門用語は使いません。まるで絵本を読むように、易経の世界の入り口を覗いてみるつもりで、どうぞ気軽にお読みください。

易経は「変化」の書

私たちの周りを見渡してみましょう。朝が来て、お昼になり、夜が来る。季節は春、夏、秋、冬と巡る。晴れの日があれば、雨の日もある。人の気持ちだって、楽しい時、悲しい時、穏やかな時と移り変わります。

このように、私たちの世界は常に「変化」しています。じっとしているものは何一つありません。易経は、この世界に起こるありとあらゆる「変化」の法則やパターンを読み解こうとする書物なのです。だからこそ、「変化の書」と呼ばれているんですね。

易経の知恵は、「今、何が起こっているのか」「この変化はどこへ向かおうとしているのか」を理解するためのヒントを与えてくれます。それは、未来をピタリと当てる占いというよりも、むしろ今の状況をさまざまな角度から眺め、これからどうなりそうか、自分はどうすれば良いかを考えるための「ものの見方」と言えるでしょう。

世界は「陰」と「陽」でできている?

易経が変化を考える上で、最も基本となるのが「陰(いん)」と「陽(よう)」という考え方です。これは、私たちの身の回りのもの全てに、対立するけれどお互いを必要とし合う二つの側面がある、という見方です。

例えば...

どうでしょう? どれか一つだけでは成り立たないものがほとんどではないでしょうか。昼があるから夜が分かり、男性と女性がいて社会が成り立ちます。陰と陽は、綱引きのように引っ張り合ったり、シーソーのようにバランスを取り合ったりしながら、常に動き、変化しています。

易経では、この陰と陽をそれぞれ線で表します。

この二種類の線が、易経の全ての基本となる「記号」なのです。そして、世界の変化とは、この陰と陽のバランスが刻々と移り変わっていく様子だと考えるのです。

陰陽が三つ集まると「八卦」になる

陰と陽の線(――、-- --)を、縦に三つ重ねて組み合わせると、全部で8通りの形ができます。これが「八卦(はっか)」と呼ばれるものです。

それぞれの八卦は、自然界の基本的な要素や、それらが持つ性質を象徴しています。いくつか例を見てみましょう。

この他にも、「沢(たく)」「雷(しん)」「風(そん)」「山(ごん)」といった八卦があります。それぞれの形が、まるで絵のように、ある状況や性質を表しているのです。

易経は、これらの八卦を見ることで、「今の状況は、まるで火が燃え盛るようだ」「水の流れのように、じっと耐え忍ぶ時かもしれない」といったように、目の前の出来事を自然の摂理に当てはめて理解する手がかりを得ようとします。

易経はあなたに何を語りかける?

易経の基本的な考え方、陰陽と八卦について触れてみました。難しい計算や複雑な手順は、この段階では全く必要ありません。

大切なのは、

です。

易経は、「変化は当たり前のものであり、それを恐れる必要はない」と語りかけているかのようです。そして、「変化の波に、どのように向き合い、どう乗っていくか」を考えるための知恵を与えてくれるのです。

まとめ

今回は、易経が「変化の書」と呼ばれる理由と、その基礎となる陰陽、八卦という考え方をご紹介しました。

易経は、私たちの日常の出来事や心の動きを、大自然の移り変わりと同じように捉えようとする、壮大で優しい知恵の宝庫です。

「なんだか難しそう」と思っていた易経が、「もしかしたら、自分の毎日の変化を考えるヒントになるかも?」と、少しでも身近に感じていただけたら嬉しいです。

まずは、身の回りの「変化」に意識を向けることから始めてみませんか? そこに、易経の世界への最初の一歩があるはずです。